インテルメッツォ
リヴァースモード生還篇（６）
時系列的に「リヴァイヴァル」の少し後、「プラネット」の少し前。記憶を失って蘇生
したアバッキオねーちゃんをジョルノ様は飼っています……。
１８禁ですがヤってないかな。とりあえず嫌だわという方とリアル１７歳以下はお戻り
ください。
でも、ああ、どうでしょうこのヤるヤる詐欺。おかあさんたらヘタレ。
１
「今日はちょっと変ったプレイをしてみましょう」
部屋に入ると、ボス・ジョルノは微笑んだ。
「ぼくのことを、罵ってください」
雪の肌にプラチナの手枷足枷のみを纏ったアバッキオは、まっすぐボスを見返した。
「死神と詰ってください。ぼくのせいでかれが死んだと、つめたく見下して言ってくださ
い。
あなたの幸せの全てが消えてしまったと。この疫病神めがと」
琥珀の瞳は、いつもと同じように、感情を見せずに光っていた。
「な……んでおまえなんかがのうのうと生き残ってるんだッ」
泣きそうに顔を歪めて、アバッキオは言葉を喉から絞り出した。
「そうそう」
金髪の少年は、頬を緩めた。
「この死神、そうだ、死神だ。暗殺チームの奴らも親衛隊も。ご立派な奴らじゃあなかっ
たが、あそこで死ぬ必要なんか無かった。おまえがよけいなことをあのひとに吹き込まな
かったら……！
ナランチャ！ 可哀相な子！ あんなに誰にも愛される子はいなかった！ あたしにも
優しくしてくれて！ おまえにも素直に接していただろうに！ 最期はあんなにむごたら
しく殺されて！
この死神が！ おまえのスタンドなど役立たずだ！ あのひとも、ナランチャも救えず
に……あたしだけ、なんで……」
「ああ、そうです。もっと！」
うっとりと、ジョルノは椅子から滑り落ちた。
「なにを嬉しそうな顔をしている、この悪魔！
関わった人々全てを自分の踏台としか思っていないんだろう！ 恐ろしい……恐ろしい
人間らしい心を持っていない悪魔。マフィアのボスになれて、嬉しいか、嬉しいかこのば
けもの！」
ジョルノは随喜の涙を目から溢れさせながら、自分の身を自分で抱きしめて喘いだ。そ
の身体ははっきり性的興奮を示している！
「なんて恐ろしい……！
おまえはおかしいよ。どうしてそんなふうに感じることができるんだ、あのひとを失っ
て平気だというのか、ひとの、あたしの幸せを、やっと掴んだ小さな平和をぶちこわしに
しておいて……聴いているの、ジョルノ・ジョバァーナ！」
アバッキオは足を進めると、ジョルノの両肩に手を掛けた。思い切り揺さぶる。がくが
くと頭を揺さぶられながら、ジョルノの目は焦点が合っていない。
「ジョルノ、ジョルノもう楽にしてやろう」
アバッキオの両手を繋いだ鎖を、彼女はジョルノの首に一周掛けた。両の手で、それを
思い切り引く。
「あアァッ！」
かれはついに達し、苦悶の表情が、安堵のものに変わる。アバッキオが手を緩めた。赤
黒い顔は、すぐにもとの白い肌を取り戻した。
２
体格のよい女性は、自分を支配している少年を抱き上げて、ベッドに運んだ。慣れた仕
草でかれの身を拭（ぬぐ）い清める。横向きになって暫し咳き込んだ後、穏やかな呼吸を
取り戻したジョルノは、仰向けになってただ黙っていた。
アバッキオはベッドに腰掛けて、沈黙を保っている。
ジョルノは寝返りを打つと這い寄って、彼女の膝に頭を載せ、かれのお気に入りの美し
い顔を下から見上げた。
「記憶が戻ったらあなたに殺されると思っていましたよ。
……もう記憶が戻ったんじゃないの？」
膝枕から手を伸ばしてプラチナの髪を弄びながら、ジョルノは眼を細めて言った。
「さあ」
アバッキオは無表情に返した。
「ぼくのことが好きになった？ じゃあもうこれは要りませんか？」
プラチナの手鎖を少年の細い指がたどった。
「ジョルノ様はあたしに新しい生をくれました」
「ブチャラティもそうだったんだって？
……じゃあ、また新しい生をくれるひとに出会ったら、あなたはそのひとを愛するんで
しょうかね？」
「さあ」
「そろそろかれのインセンティヴを執行するころでしょ？ どうです？ かれと逢ってい
ると楽しいですか？」
「さあ」
「かれはあなたに指一本触れないんですって？ なにが楽しいのかな？」
「さあ」
アバッキオの表情は変らない。
「あなたはでも楽しそうですよ。いろんなものを買って貰えるからですか？」
「……さあ」
僅かに、返答にためらいが見えた。
……でも今は。
そのようなことを呟いて、美しい囚われ人はかれに手をさしのべて、胸に優しく抱いて
くれた。
１０−０９−１２
蛇足。
お蔵入りだった爽やか鬼畜なボス・ジョルノの寝室風景。リヴァースが独立したから出
してみました。いつもこんなＭなわけじゃなく、当然ナチュラルにＳなんだけど、あのア
バッキオととっつかまえておいて言葉責めとかしたかったジョルノ様は、「はい」と「さ
あ」しか言わなくなった生き返り版のアバッキオねーちゃんにはほんと参っています。い
やそこは「メロメロ」という意味じゃなくて、「とほほ」です。でも、ヤりたい盛りだか
らヤることはやる。やってからノーベル賞取れるくらいの賢者モードになります。虚しい。
純粋にヤりたいからヤる時もありますよ、そりゃもちろん。そしてそういうときは……
純粋にねーちゃん遊んでないからテクが足りなくて隠れ遊び人のジョルノ様にはやっぱり
物足りないと（おい）。
だから、急がば回れとばかりに「北風と太陽」をやってねーちゃんの心を掴んだフーゴ
には地味に嫉妬していていろいろ嫌がらせをするわけやね、いや、譲ってやるんだからそ
こは素直に負けを認めたんだろうか。その、いろいろ言葉責めで反応を楽しみたいＳなと
ころはフーゴで発散してるのでもうあんたらそういう３角関係でいいじゃない。とわたし
はそう割り切りました。